2011年04月02日

モノ作りと風評

「お宅に頼んでよかった」

そうお客様に言われることが何よりも嬉しいです

そのお客様が「修理出来ないか」と持って来られたのは飾り金具とはほぼ関係のないモノでした

勿論「かなぐ」と金具屋の看板を掲げている以上はとりあえず可能な限りはどんなモノでも修理するのが職人ですから、請け賜ることにしてますが一応専門外のモノの場合はその“専門職”もしくは“取り扱い店”にご相談されては、とオススメすることも少なくありません

ところがそのお客様は困ったような顔をなされて「以前、あまりいい思いをしなかったので...」と言葉を濁し、専門店には持ち込めない事情があると察し、出来る限りのことをさせていただくつもりでその商品をお預かりしました

当然、ハードルは高くなりました
でも当工房をわざわざ訪ねてくださったのですからせっかくなら喜んでいただけるような修理をしたいと思い、予算と納期を確認した上で修理させていただきました

飾り金具の仕事に限らずシルバーアクセサリーの仕事でも、作ったモノ、修理したモノ、オーダーを受けて作ったモノすべてにおいて「満足した」というお言葉をいただけるとは思ってもいません

それでも先程のようなお言葉をいただけると本当に嬉しいのです



以前、ある業者さんが

「あそこは高いから(仕事を頼めない)」

という事をおっしゃっていた、というのを人づてで聞きました

その業者さんとは取引も見積もりも何の関わりも持ったこともございません
なのにどういう理由からそうおっしゃったのかどうか真意はわかりませんが、こういうのはある種の「風評被害」とも言えることじゃないか、と思うのです

確かに(飾り金具の仕事について申しますと)当工房は職人二人でやっている小さな工房ですし、モノによってはどうしてもコストが高くなることもございます

ただ、何が何でも高くやっているわけじゃなく、ましてや吹っかけているつもりは毛頭ございません

職人の仕事というのはほとんどが手間賃です
手間が掛かればそれなりの費用が掛かるのはどんなモノでも同じです

一方で、予算があれば予算内でやるのも職人なのです

小さな工房だからとか祭り屋台の仕事をしているからという先入観で「高い」と決め付けられるのはとても残念なことです

世の中が不景気だと「安かろうマズかろう」がまかり通るようになります

もちろん、安くて良いモノも世の中にはございます

ですが手間をかけたモノはそれなりに値段が張るのも事実です

(とりあえず最近では見積もり依頼以外での仕事の際はなるべく予算をお聞きすることにしてますが)

あまりなんでもかんでも「安いから」という理由だけでそれに決めてしまうとそれこそ「モノ作り」というものがダメになってしまうような気がしてなりません



売れないから、仕事がないからと値段を下げてしまう
そんな事をするくらいならいっそ作らないほうがいい

それが職人としてのプライドなのかもしれません

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Posted by フワです at 15:39│Comments(0)金具屋
 
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